20091108

伊藤悠『シュトヘル』2巻を読んだ


伊藤悠『シュトヘル』 2巻

コマ割りで魅せてくれた1巻と比べ、大ゴマや絵の構図・表情勢いで見せる方向にシフトした印象を受けた2巻だが相変わらずすばらしい出来。
引用したコマは、伊藤悠のマンガに頻出する「人物の相貌+くねらせた手をアクセントに構図を作る」といった表現が見られるもの。個人的には「伊藤悠ポーズ」と名づけたいのだが、如何せんマンガをあまり読み込んでこなかった子なので元ネタがもしかしたらあるのかどうか分からず……。私が読んできたマンガの中では、森美夏氏もとても印象的なポージング&シルエットの手を描かれる人のように思われて、女性作家の手へのこだわりはステキだなぁ、とうわごとを言う始末です。

――余談として、伊藤悠『シュトヘル』 2巻より、伊藤悠の絵の「描き方」そのものの上手さについて少しだけ触れてみます。

このコマは少年がガケから落ちそうになり、崖上に手を伸ばしてある人物に助けを請うシーンを描いたものなのですが、重力により崖下に引っ張られている切迫感やその重みのようなものを、絵の中に組み込んだ流れや絵のディフォルメにより、巧みに表現しています。

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