20100807

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」におけるキャラクターの手の描き方 おまけ

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」は現在二種類のバージョンでソフト化されています。一つ目は、劇場公開当時のフィルムの質感にこだわり、追加カットが加えられていない「1.01」。そしてもう一つは、新作カットを追加しデジタルデータをそのまま使いソフト化した1.11」です。

冒頭で引用させていただいた画像は、TVシリーズ1話が収録されたDVDとキャプション通り「1.01」からキャプチャーしたスクリーンショットですが、「序」のこのカットは道路の曲がり具合や手前の信号機などを見ると分かるように、TVシリーズから画面レイアウトが流用されていることが分かります。茂みが濃くなり道路にも草を生やすなど、廃墟としての描写を強く印象付けるように描かれていますが、全体的にTVシリーズ1話の「ビル街」といった印象を引きずっているようにも思えます。

いっぽうこちらの画像は、記事冒頭で引用したカットの少し前に「1.11」で追加された、主人公をある登場人物が車で迎えに行くカットです。同内容のカットがTVシリーズ1話にも存在していますが、こちらはどうも画面レイアウトを流用せず、一から描き起こしたようです。
TVシリーズ1話では上から見下ろしているようなカメラ位置であったものが、「1.11」では手前に路面を追加することにより地面にカメラを設置しているかのような構図になり、結果画面の多くを茂みや電信柱などで埋め尽くされ「ビル街」という印象はおおきく薄れています。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の公開日は2009年6月27日で、「1.11」のブルーレイ/DVD発売日は2009年05月27日です。牽強付会に過ぎるのですが、「序」から「破」へと製作が進むにつれて、寄稿させていただいた文章で触れたある事についての演出方針が明確になっていった結果なのかもしれないのかな……と思ったりしています。

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