20100804

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」におけるキャラクターの手の描き方 +α

大ヒットしたTVアニメーションシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」のリメイク作品である「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズでは一部カットでTVシリーズで使われた素材の流用が行われており、それらは背景を差し替えたり、キャラクターの作画を修正したり、デジタルエフェクトを加えるなどして、新作部分と比べて不自然に映らないように加工され劇中へ組み込まれています。
しかし上記のように、作画の手直しが少ないカットが存在し、その結果「新劇場版」はTVシリーズ放映当時の作画のテイストと、今現在の最新の作画のテイストの違いを楽しめる作品となっています。

その違いは、タイトルに書いた通り「手の描き方」において顕著です。記事冒頭のTVシリーズ1話からの流用で作られたカットは、主人公の手がゴツゴツとしたマンガ的なデフォルメで描かれ、比較的流用カットが少ない「新劇場版 破」においては上図の通り、リアルタッチで細く繊細に主人公の手は描かれています。

また、TVシリーズ1話からの流用で作られたカット――つまり「新劇場版 序」における冒頭部分の画面のテイストとして、製作の序盤に作られたのか、こういった手の作画の他にも他のシーンと比較して明らかに異質な箇所があります。それは背景美術におけるビルに設置された看板や広告群の描かれ方。TV版のニュアンスが色濃い「序」の冒頭部分では、左図のように背景のビル群に看板がしっかり描かれています。しかし、新作パートが増えるにつれ背景にビルの看板や広告が少なくなり、「破」においてはあれだけ大量にビル群が描かれるにも関わらず、総カット数1669カットの内ビル広告や看板が確認できるカットは(自分が確認した限りでは)13カットしかありません。

何故このように、背景から(ネルフ関係施設以外の)広告や看板が排除されているのか?そのことについて大風呂敷を広げてあれこれ考えてみた文章を、重度のアニメ演出家マニアであるbonoさんのサークル「幻視球」にて発行される同人誌に寄稿させて頂きました。もうすぐ開催される「コミックマーケット78」にて頒布予定とのことですので、コミケに出かけられる方は僕の原稿の有無関係なく是非是非bonoさんのサークルへお立ち寄りを!発行される同人誌は毎号、アニメーションにおいて注目すべき着眼点が分かりやすい文章で解説されており非常に勉強になります。

日程:8月15日(日)(3日目)
場所:東 N44a 幻視球

:『ORBITAL』1(オフセット・本文56P・全ページフルカラー)

・既刊コピー誌2冊をフルカラー化して再録
(再録)『Orbit Vol.1特集;西沢信孝』
(再録)『Orbit Vol.2特集;庵野秀明』
・書き下ろし原稿(数ページ)

<執筆者>
bono(幻視球)
<ゲスト執筆者(50音順)>
KOSさん (ミクロKOSモス)
newさん(Jekyll & Hyde -- ジキルとハイド)
maenouさん (エルデンカビル)(カバーイラスト)

幻視球 : C78(夏コミ)参加情報」より引用

通販ページはこちら アリスブックスさん

追記:おまけなカンジのエントリーを追加しました

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