20150821

コピー誌本文を印刷会社さんへデータ入稿して宅急便で送ってもらったおはなし

コピー誌の発行を同人活動のメインに据えるサークル参加者にとって、「できるだけ安く、きれいに出力できるコピー屋さん」の探索は活動を続けていく間ずっとついて回ってゆく、答えの出ない課題のようなものです(多分)。

コピー誌の出力でよく話題に上がるのはキンコーズ 。全国の大都市には必ずといっていいほど存在し、多くの店舗が土日も含めて24時間営業。紙折り機をはじめ自動製本装置を備えたコピー機の充実や比較的広くて作業のしやすい店内など同人誌製作にこの上ない環境を誇るビジネスコンビニですが、クーポン会員 にならないとコピー料金がコンビニコピー機並みの高めの値段設定なので、個人的には製作時の優先順位は低めになってしまっています。

特に、関西在住の方ならカンプリという選択肢がかなり手強いものとなるでしょう。コピー・出力白黒5円 カラー30円とコンビニコピー機の半額程度で出力でき、当然店頭でPCをレンタルしてそこからの出力も可能。また店舗毎に大きくサービス内容が異なり画一的でないので、店舗によっては持ち込んだ紙に印刷をお願いすることが可能です
もちろん、店舗毎にサービスが異なることは選択時の大きなデメリットになり得ます。各店舗ごとに設置してあるコピー機の機種がまちまちな印象があるので、店舗を変えたら印刷品質ががらっと変わってしまった、ということが大いにあり得ますし、店舗一覧に掲載されている通り、 コピー以外のセルフサービスの可否が店舗によって大きく異なります。また、キンコーズと違い日曜営業の店舗が少なく、土曜日は短縮営業のところが多いようです。良い店舗ですと本当に安価できれいにコピー誌が仕上がるのですが(自分はよく梅田堂山店を利用していました)、土日にしか時間がとれない!という方にはなかなか時間を合わせることが難しそうなビジネスコンビニです。

また、大都市圏ではなく地方在住の方ですと、交通費を払いコピーのために遠方のビジネスコンビニまで足を運ぶというのはなかなか現実味のない話になってしまいますし(買い出しなどのついでに出力、という方法もあるにはあるでしょうが……)、総コストを考えるとセブンイレブン等のコピー機でのUSBメモリ等からの出力 が一番安い、という場合になる結果は多々ある話ではないでしょうか。
では、ビジネスコンビニに行き辛い方はコンビニのコピー機しか選択肢はないのか、いや違う……!というのが今回の本題。コピー機やオンデマンド機をつかった白黒出力の印刷通販サービスを利用し、コピー誌を作ってみよう!という結果をブログ記事としてまとめさせて頂きました。



■そもそも「印刷通販」とはなんぞや



・カラーのオフセットのチラシ印刷でよくあるやつ
・データをアップロードなりで先方に送って印刷してもらって宅急便とかで送ってもらう
プリントパックとかイロドリとかグラフィックが有名
・100部片面カラーA4コート90kgが主戦場で各社壮絶な殴り合いをしている
・100部片面カラーA4コート90kgが送料無料で700円とかちょっとおかしいんじゃないすかね


「印刷通販」という言葉で括ると、恐らくは上記のような「カラーのオフセットのチラシ印刷で各社壮絶な殴り合い」的な状況がgoogleの検索結果において提示されてくると思われます。
カラー片面100枚の印刷料金がA4なら1000円切る値段、というのは非常に魅力的で、カラー表紙のコピー誌をそれなりの部数で作るなら大きな選択肢になるでしょう。
しかしながら、各社とも「カラーの印刷は安いけれども、白黒印刷はそうではない」という状況であり、また100部未満の印刷だと値段に大きなメリットが発生しません。「オフセットが主力の印刷通販会社」を利用し本文が白黒のコピー誌を製作する際、本文をどうやって印刷するか、というのは大きなネックとなるでしょう。

そして、そこで立ち上がってくるのが「コピー機出力やオンデマンド出力主体の印刷通販会社」です。



■「コピー機出力やオンデマンド出力の印刷通販会社」ってなんぞや



・いろいろ調べてるうちに偶然見つけたので実態不明
・データをアップロードなりで先方に送って印刷してもらって宅急便とかで送ってもらうところは同じ
・サンプルでいろいろお願いした結果クオリティはまちまち
・値段もまちまちっぽい
・適当に調べた結果以下の会社さんを見つけた

印刷センター成徳  A4 1.5円または4円 注文は1500円以上 サイトデザインがすごい

印刷の萌 A4 100枚 243円

いんさつ工房in文昭堂好文の木 同一原稿50枚 1枚あたり3.9円 紙折り依頼もできる

マツモト印刷 後述


適当に調べた結果なので、同種のサービスをされている会社さんやコピー屋さんは恐らく他にも多く存在するでしょう。ですので、今回の私の選択が最良なものかはわかりません。ですが夏コミの締め切りは待ってくれなかったので、今回私は名古屋のマツモト印刷さんに新刊コピー誌の本文印刷をお願いすることにしました。



■「マツモト印刷」さんに頼んだ結果


googleストリートビューより。自社ビルだ!



□良かったところ
・断ち切り指定でフチナシ印刷をお願いできる!(重要)
・紙折りもお願いできる(紙折作業超めんどくさい 普段はキンコーズに基本料金500円1枚1円で折らせまくる)
・納期が割と短い(月曜日朝早く入稿で木曜朝手元に到着)
・オンデマンド印刷・製本の同人誌並みの印刷品質(良い)
・比較的安い(後述)
・お金を払ったら袋とじ製本も中綴じ製本もしてくれるっぽい(頼まなかったので不明)

□ちょっとだけ困ったところ
・値段表がない(ただ、見積もりは気軽にしてくれる雰囲気)
・メールでのやり取りがメイン(自分は苦じゃないけど苦手な方は居られそう)
・納期連絡はあるけど発送連絡がない(お荷物問い合わせ番号とか教えてくれると嬉しかった感)

□ウィークポイントだけど全然ウィークポイントじゃないところ
・白黒専門会社さんなのでカラー印刷ができないけどそういうのはさっき書いたカラーチラシに強い印刷通販会社さんに頼めば良い


決め手となったのはまず抜群の印刷品質と「追加料金で紙折りOK」「追加料金無しでフチナシ印刷OK」の部分。
キンコーズやカンプリ等、色々なコピー機での出力を試してきましたが、どうしても色良く出なかった「真っ黒」がきれいに出ます。
オフセット印刷の同人誌と比べると若干劣る部分があるのは否めませんが(ベタ部分のムラ等)、1枚5円を切る印刷料金設定(サイズや紙種にもよりますが……)を考えると現時点では抜群のパフォーマンスと言い切れます。
また、きれいなコピー誌を作りたい方にとって、断ち切りによるフチナシ印刷が可能なのは大きなメリットでしょう。
前述させて頂いた印刷通販サービスさんは紙の四方に数ミリの余白ができた状態での納品となりますが、マツモト印刷さんですと、多くの同人印刷会社さんへのデータ入稿時と同じように断ち切りを作成したファイルを入稿すると、綺麗に四隅を断って納品して頂けます。
また、面倒な紙折りも追加料金で依頼することが可能。ネット上に価格表を掲示されていないので値段を記すことはできませんが、かなり良心的なお値段でお願いすることができました。



■実際印刷を依頼した際のプロセス



1:まず「この日までにブツが到着できるように印刷をプリーズ 詳細プリーズ」メールを送る

2:翌日、「オーオー発注書送るオーオー」とpdfとexcelファイルをご送付いただく


なんかこういうの(ネットで配布されているものではないのでガウスぼかしをかけています)

3:発注書に必要事項を記入し返信
依頼の内容は以下

本文:B4 おまかせ紙 70kg モノクロ片面印刷  13種x50部
表紙:B4 色上質紙<厚口> 銀鼠色 1種×50部
オプション:二つ折り(印刷面外)


4:翌日、見積金額と振込先口座情報をいただく(送料込みで5000円を若干切る感じ)
「初回申し込みの方は代金事前振込ですみません」的な「いやそんな恐縮しなくていいですから……」的な文章が添えられている

5:印刷料金を振り込んで月曜日朝早くにデータ入稿(とりあえず自サーバーにアップロード)、続いて連絡メールをお送りする

6:「データ入稿確認しました納品日は(3日後の)木曜日午前になりんす」的なメールをいただく

7:発送連絡は特になかったが、木曜日午前に無事ブツが届く



届いたブツの梱包はこんな感じ(上にクリスタルパックに入れられて重ねられているものは余部。数部同梱されていた)。


奇麗な黒色の発色。今から地獄の製本作業だ!


数時間後。綺麗な印刷としっかりした裁ち落としにより見栄えが大変美しいが内容が微妙なコピー誌ができる。マツモト印刷さんが良いお仕事をされている分、中身はどうよという物悲しい空気が作業場を支配する。


今回は比較的短納期で印刷をお願いすることができたのですが、繁忙期等、常にこの期日でお願いできるかどうかは不明な所があります。また、多くの印刷所さんには休業日が存在するので、休日を挟むと納期が延びるのかな?という疑問もあります(ですので、キンコーズやコンビニコピー機は多くの印刷会社さんがお休みの日曜日にも出力できることがメリットと言えるでしょう)。あと印刷が綺麗だからって中身がへちょければ良い本にはなりづらいというのを死ぬほど痛感します。
コピー誌の良いところの一つに、「イベント直前まで原稿作業ができ、コンビニなどを利用して休日に印刷・製本が行える」というものがあります。突然同人誌のネタを思い立ち、軽いフットワークでさくっと作れるという所に魅力を見出されている同人作家さんは多いでしょう。そういった場合において、ある程度の納期設定を組み込んで事前にスケジュールを組む必要がある印刷通販サービスは利用しづらい面があるのは事実です。

しかし、少しの余裕を持つことができれば、自宅に居ながらにして印刷から紙折り、場合によっては製本まで依頼できるコピー機・オンデマンド機使用の印刷通販は超強力な助っ人になります。また、コピー機・オンデマンド機の進歩等を鑑みれば、今後も更なるサービス拡充や改良が見込める業態である予想することは、果たして素人考えになるのでしょうか。
どちらにせよ、今後年月を重ねるにつれ、ここに記させていただいた情報がどんどん古びていくのは否めないでしょう。
しかしながら、これが私の2015年8月のコピー誌製本事情という経験の一つとして、この記事を書き残させて頂こうと思います。



■おまけ


マツモト印刷・ビジネスコンビニA・ビジネスコンビニBを利用し、同一原稿を出力後ホームスキャナを使用し600dpiでスキャン後トリミング・縮小をかけたもの(大きなサイズはこちら)。



左端     :元原稿(過去に自分が頒布した同人誌より)
左端より2番目:マツモト印刷
左端より3番目:ビジネスコンビニA(京セラ TASKalfa 8000i
右端     :ビジネスコンビニB(コニカミノルタ bizhub C754



拡大図A:カバンの所が分かり易い。マツモト印刷とビジネスコンビニAはカバンの線画がはっきりと見えるが、ビジネスコンビニBは黒く塗り潰れてしまっている。ビジネスコンビニAと比べてマツモト印刷は元原稿に若干忠実に、色が濃く出ている。


拡大図B:ビジネスコンビニBは元原稿に近い色味で出ているが、横縞が入ってしまっている。分かりづらいが、ビジネスコンビニAは色味が若干薄く感じられる。


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