Moonlight Museum(WS) 夢見る帝国(GBA)

『風のクロノア』
そのゲームをプレイし終った時、私の心の中にまた新しいマイベストゲームが生まれたという思いの他に、
また別の一つの思いが生まれました。
萌えで御座います。
オープニングから芽生えていた「コイツええなぁ〜」という想いはゲーム中盤から高鳴り始め、
そしてあのエンディングで絶頂に達しました!
人生で始めて感じた萌えの感情に戸惑いを覚えつつも、時期悪く、発売と同時にゲームを手に入れた訳ではないので、
世には「クロノア」と名のつく駄目ゲーゲームが数本発売されてました。
それらを見た瞬間、私の中の眠れる獅子が奮い立ち、
そのバイブレーションが心の中で一つのソウルボイスとなって体中を駆け巡ったのです!!
「ゲームの質なんてどうでもいい!私は『クロノア』と名の付くゲームを全てプレイしてやる!!」
所謂馬鹿です。
こうして私の心の中に一番危険な感情である
「キャラゲー衝動買い」という間隔が芽生えてしまったのです。
ゲーム会社のカモですね。
という訳で、以下そのゲームレビューです。

Moonlight Museum(WS)

Door to〜が発売されて以来始めて世に出たクロノアゲームです。
発売本数1万4千本。それ程売れたというものではないですが、
出たハードがワンダースワンであった事、且つワンダースワン歴代ゲームソフト売上10位(註:恐らくモノクロのみ)という事を考えると、
如何にDoor to Phantomileが中毒性の強いゲームだったかお分かりになられる参考になるかと思います。
しかし販売本数は販売本数。
ハードがやはりワンダースワンという事も相まって現在このソフトは入手困難。
それでは私が如何にしてこのソフトを手に入れたかというと…
インターネット通販。
1500円払ってあえて駄目ゲーと分かっているゲームを恥も外聞も知らず購入する自分が信じられません。
いやぁ、
本体よりも高くつきました。750円でしたから。
ちなみにゲームはパズルアクションゲームで、少々難易度は緩いです。
ボス戦は無く、ただVision5まで淡々とステージを進んで行くという内容。楽しいですが、
それ以上はありません
ちなみにシナリオはというと夜行性の芸術家達が夢を見たさに月のかけらを集めて夜を明るく照らし、
それに困った少女をクロノアが助けるという物語。いたってシンプルです。
Door to〜みたいな深みは無いけど(私が気づいていないだけかな?)、このストーリーがDoor to〜の次に好きかな。
名作と噂される『2』が未プレイなのでどうともいえませんが、GBA3作の駄目さが際立つ中でこれが一番シナリオ的に無難でした。
まぁ、クロノアというキャラで売っているゲームの枠の外にはみ出せてないソフトといった所でしょうか…。

夢見る帝国(GBA)

廃人記念一発目に購入したソフトです。
販売本数は3万6千本(註:後日62,440本と判明。
売れすぎ)
2が8万本(註:後日133,401本と判明)で1が11万本という所や海外でもセールスされたという実績だけを見ると成功したものに感じられますが、
その後
新作がファミ通週間売上本数ランキングトップ30にも入っていない事や、
一向に『3』が開発されない事、
続編であるG2の売上が3850本というのを考えると、
全ての原因はこれにあります。
ていうかありました。
えーと、このゲームを始めて知ったのは本屋さんで攻略本を立ち読みした時の事。
公式ガイドブックに掲載されていた開発者インタビューにこんな事が書かれてありました。
「すべてのプレイヤーに、エンディングを見て欲しい」
ほほぅ。
という事で即購入決定に至ったわけですが、その問題のシナリオはというと…。

オープニング。クロノアの独白。こういうの好き。超好き。
宿屋で寝ているクロノア。何故か何時もの服で。パジャマは着ないのかい。
すると突然そこに現れる
ジョイの人(実際全然違いますが)。ジョイの人は有無を言わずにクロノア君を連れ去ります。あとこれにアイマスクがあれば雷波少年系なのに。
ジョイの人はクロノア君を皇帝の御前へ。うわぁ。VIP待遇。
…てかこの怒涛(=無理矢理)のオープニングについて来れてる人どれぐらい居るんだろう。
皇帝ジリアス様曰く「貴様らか、わが帝国でぬくぬくと夢を見る奴らは」。
彼がTプロデューサーですか。
Tプロデューサーの傍らに居るバクウさん曰く「ジリアス様の帝国では夢を見ることは禁止されておる」との事。
それに反論するクロノア君。バクウさんに処刑されかけるのですが、慈悲深いTプロデューサー、ここで今回のテーマを発表します。
「雷波少年系!帝国内で暴れまわる4匹の怪物を退治しようの旅!!」
街で暴れまわる怪物を退治できたら、処刑は免れるそうです。
「もっともその前に、お前も夢を見ることの愚かさが分かるだろうがな…」

なんか腑に落ちないオープニングでしたが、取り敢えず1番目の街にに入ってみましょう。

ケンカシティ ガザランド

…ほほぅ。

…まぁ名前を見ていただけたら即お分かりになられると思いますが。
喧嘩好きな街です。
住民に殴られながら話を聞くと、最近この街にやってきた怪物がケンカチャンピオンに君臨したとの事。
その事に対して困っているのか困っていないのか良く分かりませんが、
取り敢えずシナリオの進行が困っているのでクロノア君は怪物を退治しに行く事に。主人公だもんね!
ゲームシステムはMoonlight Museumの継承系であるパズルアクション。
しかしボス戦だけアクションに変わります。
ちなみにVision1のボスはDoor toのVision1のボス、ロンゴランゴの攻撃方法に酷似しております。
怪物を倒すと、怪物はチップルという少年に変わります。
チップル曰く「夢をみてたんス…」


(C)2001 namco『風のクロノア 夢見る帝国』
ゲーム実機より引用


すみません。ヒーローズをプレイされた方限定のネタで。
再プレイでこれ見たとき不覚にも大爆笑してしまいました。
あまりにもヒーローズでのチップルとのキャライメージがかけ離れているんで…。
チップル君が言うには「夢を見ていたら赤い霧に包まれて」…。
これが以後、重要な付箋になるのか、その時はそう思いましたよ。
こうして一つ目の街は攻略して、二つ目の街へ。

オペラタウン プレアミル


街の名前を聞く限りでは、
ジャイアンが居る事になるのでしょうか
推測すると案の定そうで、街の外まで聞こえてくる「ぼえ〜」ボイス。
するとそこにペリルという人がやってきて、この事態の推移を教えてくれます。
世界一のソプラノ“ムジカ”(これはmusicをローマ字読みにした名前でしょうか?)がこんな声になってしまったとのこと。
ゲームシステムは前掲の通り(おまけに言うと、強制スクロールとフロートボードのおまけ面が各ビジョンに2ステージづつあります)で、
とくに変わった所がないので端折ってボス戦後に。
どうもこの人は世界一美しい歌を歌う夢を見て、怪物になってしまったようです。
「あのとき、夢の中でペリルにすばらしい歌を聞かせていたんです。でも、どうしてもその歌がおもいだせない…
その歌を思い出そうとすると、霧が立ち込めてきてなにもきこえなくなってしまうのですよ」
その霧とは青っぽい霧だったそうです。
クロノア「赤い霧に青い霧ねぇ……」

フードランド ジオブブ

きっととんでもない料理が出されるのでしょう。
クロノア達はこの地方にある料理屋さんに入る事にしました。
ヒューポー「ステーキがいいな!」
クロノア「ボクはハンバーグ!」

ファンならばこのセリフは要チェキの最重要赤マークです。……ていうかヒューポー、食えるのか?
すると出されてきたのはなぜかニンジン。原点回帰ッスか。
ここでガンダム0083を真っ先に思い浮かべてしまう私はファン失格ですね。
ウェイター曰く、「シェフのチーリンが行方不明で、料理はできないんだよ」
なら注文取るなよとかいうツッコミを喉元に押さえ込み、ウェイター曰く
クロノア「おにくとかないの?」
ウェイター「ほかの食べ物は山にあらわれた怪物がたいらげちまったんだ」
ヒューポー「いこう!ステーキをとりかえすんだ!」だから食えるのかテメェは。
個人的にリングの精は精らしくしてほしいという希望があるので^^;
端折ってボス戦後へ。倒したらチーリンが現れました。
チーリン「そういえばオラ、夢の中できらいなニンジン食べられる料理をつくったんだ!そのとき、黄色い霧がでてきて…」
クロノア「赤い霧、青い霧、黄色い霧…」

大樹の里 サヌタール

この地方に入るクロノア。町の中は病人だらけです。第一町人のマリスの話によると
「このおくの谷にあらわれた怪物が、しんしゅのカゼをばらまいたんです。おかげでみんな熱をだしちゃって…
メディム(きっとmedicの変形でしょう)先生というかたがいたのですが、どこかにいってしまいました。とてもけんきゅうねっしんな先生だったのに…」
クロノア「まってて!その先生を連れてくる!いこう!ヒューポー!ルプルドゥー!」
ああ、このセリフ見ただけで幸せ……。
端折ってボス戦後に。
メディム「なんたることだ…。どんな病気もなおすクスリをつくるつもりが、どんなクスリもきかない病気をうみだしてしまうなんて。」
どういう研究してたんだというツッコミは置いといて、この人は夢の中で何を見たのかというと、
メディム「夢の中で、双子月をみたおぼえが…」
赤い霧、青い霧、黄色い霧ときて双子月。もう分かりましたね!


帝国の国旗だ!

ほほ……あ”あ?

なんか物凄く真剣に考えていたのですが、
流石あらゐ脚本ですね
ヒーローズプレイ後にこのレビューを執筆したのですが、
なんつーか、あらゐ氏の脚本はセリフ回しが凄く面白いんですけど、
例えるなら綿菓子。割り箸の芯がなければベタつく。
注目すべきはDoor to Phantomileがあらゐ氏オンリーの脚本では無いという事。
開発者リレーエッセイを見て頂ければお分かりになると思いますが、原案はプロデューサーなのですよ。
プロデューサーの原案という割り箸の芯があり、あらゐ氏の魅力的な脚本があって1ができたのではないかとか考えてます。
moonlight museum 夢見る帝国 G2ドリームチャンプトーナメント ヒーローズと裏切られ続けてきたので。
……まぁ、2をプレイした事が無いからやっぱり大きなことが言えませんが。彼に芯を与えてあげたいのが今の私の心情です。
あらゐ氏の同人誌等を分析してみたい……。

ヒューポー「それじゃあ、はんにんは、おしろにいるっていうこと?」
クロノア「よし!おしろにもどろう!」

王都 ル・エンジンバ


城門前に再び到着したクロノア一行。抜け穴を探すことに。
ヒューポー「(抜け穴は)
こういうおしろにはあるもんさ!」本当、こういうネタに関しては天才的なのですが……。
でもありませんでした。その時二人の前に現れるジョイの人。ジョイの人は抜け穴のありかを教えてくれます。
何故かと訊くと、
ジョイの人「むかしはこんな国じゃなかった。この国を、そして、オレ達の夢を、たのむ。」
なかなかカッコいい展開ですね。そしてボス戦前、ジリアス皇帝との決戦。
ジリアス「
ふんっ!夢などなんになる!わたしはうまれたときから皇帝だった!
夢をえらべぬものの苦しみなどきさまにはわかるものか!

をを!
凄いぞあらゐ脚本!前言撤回無茶苦茶燃える展開です!
何気にアイディンティティの問題じゃないスか!
深いじゃん!このゲーム深いじゃん!!
燃え盛る気持ちでジリアス戦。そして戦後――

ジリアス「うう…。・・よく…やっ・てくれ・・た。わが国旗のヒントにきづき、よくまいもどってくれた…。これでいい。これで…」
そう。彼も夢を乗っ取られた一人だったのです。
???「夢の力の弱きものなど、しょせんそのていどかっ!」振り向くとそこに宰相バクウ。
バクウ「おれはぜつぼうの魔王。人々から夢をうばい、ぜつぼうの王国をきずき、その王としてくんりんするのだ」
今そんな事言われても全て後付けのような気がして切迫感無いナーとか思いながら、前述の問いが気になりつつ一気にバクウ戦です。
BOSS CLEAR――。
ジリアス「よくやった、クロノア。」
クロノア「皇帝、しっかり!皇帝!」
ジリアス「すまなかった…。みな、わたしがわるいのだ。」
クロノア「そんな、皇帝はただあやつられて…」
ジリアス「いや、夢をもてぬわがみをなげいていたのはたしかだ。ヤツは、そのよわみにつけこんだのだよ。わたしは…皇帝しっかくだ。」
クロノア「皇帝…。」



「れいを言うよ、ありがとう。」
クロノアは手を差し伸べる。しかしジリアスは力尽き、手をはらりと落とす。
クロノア「皇帝! こうて〜い!!」
(何故かこのシーンでクロノアがいなくなり、ヒューポーとジリアス皇帝だけのカットになるのだが、これは私のロムだけのバグだろうか?)

画面はホワイトアウト。

ジリアス「
夢…だったのか…?

ジリアスがバルコニーに出て行くと、外には大勢の群集が。その中にチップルやムジカやペリルやチーリンやメディムの姿が見える。
群集たち「オレ達に夢を見る権利をよこせー!夢をもったらなんでいけないのー!」
ここでジリアスは自らの改心を告げます。
ジリアス「わたしはまちがっていた。夢をみることがしあわせなのではない。
そこにむかい、前進することこそ夢をみる、ほんとうのしあわせなのだ。わたしも夢をもち、そして一歩ずつ進んでいきたいとおもう
そしてそのために、みなに協力してほしいことがある。
ひとりひとりが夢を持って、それをかなえるためにどりょくするのだ。
それをみまもり、てだすけすることこそわたしの、そして、「夢みる帝国」のほんとうの夢なのだ!」

夢見る帝国、END

……あらゐさん、端折っちゃダメだよ……。
物凄く期待したのに肩透かし食らわされました。問題提起しておいてこのエンディングはちょっと……。
疑問に思った点としてまず、アイシンク
夢って言うのは分かるもんじゃないんですよ、見つけるものなんですよ
人にその重要度を教えられて納得するものじゃなくて、これが自分の夢なんだと信じる力が原動力になる筈です。
ちゃんと自分で心変わりしたじゃん――そうなのですが、その一番重要な、皇帝の心の葛藤がどうも描ききれていないような……。
あと、皇帝のやりたかった事が不明なのが疑問。
「夢を持てぬ」と言うぐらいだから、ジリアスさんは皇帝の他にやりたかった事がある筈。
ジリアスもプレイヤーの化身だと仮定したら、プレイヤーの想像に任せたのだと仮決定できるのですが、
プレイヤーの殆どが健常者なんだから、夢を諦めていない人が大半なのでは――となって、ジリアスさんとプレイヤーの心の乖離が起こってしまいます。
ここはあえてジリアスとプレイヤーを切り離して、
「街行く人々……彼等は皆、毎日を精一杯の気持ちで暮らしている……。今日の働きと汗が明日の糧を得る、それは明日へと夢見る為に……。
それが生きるという事じゃないか?しかしこの私は何だ……?ただ皇帝の椅子に安穏と座っているだけではないか?皇帝という名の、椅子に座っているだけで……。
私は彼等のように生きたい……。だが叶わない――そんな時、悪魔が囁いたのだ。」
という風なカンジのモノローグを追加する事によってプレイヤーをジリアスさんに投影させて感情移入させた方がよかったのでは?
何故か手元にある河出出版刊「天皇裕仁」という本に、「天皇というのは、皆さんが考えておられる程不自由ではないです」という
昭和天皇の興味深いお言葉が載っていて、世界で一二を争うぐらい不自由な“皇帝”がそう言う位なのだから、
もう少しアイディンティティを大きく揺らがせる根拠の提示が欲しい所です。
因みに逆に皇帝みたいな人であればその権力を生かして、趣味の範囲で自分の好きな事が出来たりします。
亡き昭和天皇は生物学を専攻されて、皇居内に研究所を構えられておられたし、
恐らく宮中で皇族として育てられていた筈ですから、あまり皇帝として相応しくない卑近な夢は持たないでしょう。
紀宮様という、学習院漫研OBという例外がありますが。
若しジリアスさんが滅茶苦茶気が弱い人で、「皇帝なんかなりたくねぇ!自信無いし!」とか思ってたとしたら、
無自覚から自覚という丁度皇帝の成長物語になって宜しい展開なのですが……、ジリアス皇帝、仰々しいですしねぇ。
どうオチつけたらいいのんだよ!これ!!

……Door to Phantomileは解釈できる自由がある為に面白みが増したことは認めますが、
夢見る帝国は逆に根本が脆弱なため、自由すぎて解釈の持って行きようが無いかと思われます。
面白い素材だったのに、残念です。

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